« 嘘六百・第15回ボツ版 | メイン | 嘘六百・第17回/「GDC」(2) »
2003年01月10日
嘘六百・第16回/「GDC」(1)
来年3月にカリフォルニアのサンノゼで開催される、ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス(GDC)でスピーチをする事になっちゃいました。世界中のゲーム開発者が一同に会し、最先端の開発ノウハウを披露する、毎年恒例のイベントです。
詳細はこちら→www.gdconf.com。
ただし、参加者の大半は英語圏の方々ばかりなので、サイトは当然、英語。私のスピーチも、海外の開発者に向けたものになります。ちなみに演題は
「貴方のゲームを日本で成功させる方法」
"How to make your game successful in Japan"
そしてなんと今回から数回にわたって、スピーチの内容をドリマガ読者の方々に向けて特別に先行公開していこうかと思います! さて、その内容や如何に…!?
――皆さんご存知のように、日本は「世界で最もタフ(困難)な市場」として知られています。
日本発のタイトルが全世界で売れているのとは対照的に、海外制作タイトルは、一部の例外を除いて日本市場では受け入れられていません。これを日本語で「SAKOKU(鎖国)」と云います――そうです、SAMURAI ERA(江戸時代)にSHOGUN(将軍)が行った政策に由来する言葉で、極端に閉鎖的な市場を意味します。
しかし現在の日本にSHOGUNはいないので(GEISHAはいますが…笑)、これは政策的に行われている事ではなく、自然発生的にそうなっていると考えてよいでしょう。
――では何故「SAKOKU」が生じるのか?
その原因は、日本という国そのものに見出せます。日本では、1億人以上の単一民族=ほぼ同一の言語を喋り、身体的にも大きな差異の無い同一人種が、狭い島国に犇めき合って暮らしているため、人間関係での衝突を避ける傾向があります。「harmony(和)」と言えば聞こえは良いのですが、これは即ち異なる考え方を拒絶する偏狭さに他なりません。この偏狭さを、我々は自嘲的に「INSULARISM(島国根性)」と呼びますが(同じく島国のイギリスUKの方ゴメンナサイ)、例えば日本の学校では他人と「違う事」そのものがいじめの対象となるため、子供達は極力他人と嗜好を合わせようとします。そんな振る舞いが、子供層を中心とした「ポケモンブーム」の原動力となった事は、周知の事実です。
更に、「同一人種」という点にも注目してください。日本人の髪は黒、瞳は茶か黒の濃色が圧倒的多数を占めています。実はここに、海外発のキャラクターゲームが(一部の例外を除いて)受け入れられない原因があります。大半の日本人は、多様な人種を見ることに慣れていないのです。厳密に言えば、黒い瞳以外から表情パターンを認識する事に慣れていない。
「ラチェット&クランク」でも、瞳のテクスチュアを暗くしたら、プレイ後のキャラクター好感度が上がったというデータがあります。色の薄い瞳のキャラクターは、感情移入の対象としては不利――むしろ、「偏狭さ」によって排除される対象として認識されてしまう恐れが大きいのです。
――さてここで、「ギャルゲーにはカラフルな瞳の女のコが多いじゃないか!」と反論する日本通の方もいらっしゃるでしょう。実はそれにも理由がありまして…。
以下次号!
アメリカ人はスピーチをする際に、必ず「会場を沸かせるジョーク」を入れるらしい。
じゃあ俺も、いっちょジョークを入れてやろうか…と思って考えたのが、今回の原稿の冒頭部分。「SHOGUN」とか「GEISHA」とか、良さそうでしょ?
ところがね、その前月にロンドンで、アメリカ人とインド料理を食っている時、この話をしてみたら、全然ウケないでやんの。ガッカリ。結局、本チャンではこの部分をカットして、ごく真っ当にやったのでした…。
投稿者 tsurumy : 2003年01月10日 06:00
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mrspider.net/mt/mt-tb.cgi/123