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2003年02月14日
嘘六百・第18回/「GDC」(3)
今回もGDCで講演する内容の準備稿です。
(詳細はこちら→www.gdconf.com)
前回の続きは、久夛良木社長に対する非難が含まれていたために自主的に没としたので(謎)、今回は少し話題を変えます。
ここ数年、世界のゲーム業界を俯瞰している身からすると、どうも日本のゲーム制作のレベル自体が凋落傾向にあるのではないか、という危惧を感じています。特にプログラミングおよびプロジェクトマネジメントの分野において、です。
こう云うと日本の方々はショックを受けるかもしれませんが、聴衆の皆さんに日本人は少ないようなので、正直に云ってみました(笑)。
日本のレベルが下がっているというよりもむしろ、日本以外の制作会社、つまり聴衆の皆さんのスキルレベルが上昇していると云った方が正確なんですが、いずれにせよ相対的に日本が凋落傾向にある事には変わりはありません。日本以外では、GDCのような公開の場や、またGame Developer Magazine等によって、制作技術の情報交換が頻繁に行われていますが、日本では未だに徒弟制度によるノウハウ伝授が一般的なのが、その理由の一つと云えるでしょう。
セガ等も分社化によって技術交流におけるスケールメリットを手放してしまい、それを補おうと他社と合従連衡を行っているほどです。トップガンチーム(優れたチーム)は多いのですが、それが市場規模に見合う量のゲームを供給しているかというと、かなり疑問なのが現状です。
さて、そのトップガンチームが何をしているかというと、「お得意様商売」で手一杯なんですね。
例えば、友人のマーク・サーニーが先日、日本市場をこう評しました――「日本で売れてるのは、RPGとガンダムだけデスネ」。ここで云う「ガンダム」とは、広い意味での「版権/ブランド/続編物」だろうと私は解釈していますが、まさに指摘通り。昨年度の日本市場での売り上げトップ10を眺めれば判りますが、続編/キャラ物以外は1本たりともランクインしていません。ここ2年程の間に、日本市場は急速に保守化してしまったと言えるでしょう。そして私は、こうした保守性が、日本市場の縮小と連動しているのではないかと診ています。
古くはシューティング、近くは対戦格闘ジャンル等において、お得意様に向けた続編商売を続けていく内に、縮小再生産から凋落に陥ってしまった例は枚挙にいとまがありません。日本市場はまさに、危機の淵に立っているのです。
つまり――そうです、皆さんにとっては、今が日本市場に食い込むチャンスなんですよ!
ゲームのファンサイトや雑誌のレビュー等を読むと、依然として新規性の高い斬新なゲームを望む声が大きい。そりゃそうです、「新しい体験」こそがゲームの肝。でもね、日本の制作会社には残念な事に、新しいチャレンジに費やす体力がありません。あったとしても、一線級のチームは割けません。日本を視野に入れたワールドワイド・タイトルを目指す意味が、そこにあるんです!
(俺は売国奴か…と思いつつ)以下次号!
本文アタマで触れている「久夛良木SCEI社長に対する非難」ってのは、「何故ラチェット&クランクは露出図版を日本向けに修正しなかったのか?」という話題。これについては、今書くとカッチョ悪いんで(笑)、次回作が成功したら(成功させるコトができたら)改めて書くことにする。
ま、それはともかく。
自分が見ている(決して狭くない)範囲での傾向として、日本のプログラマーの多くが、世界レベルをキャッチアップできていないのは、紛れもない事実。
仕事柄、新作ゲームのプロトタイプを見る機会が多いんだけど、正直、日本のチームが作ったプロトタイプは「ショボい」。これは、試作段階で十分な予算を注ぎ込めないという、日本メーカーのお寒い事情があるワケなんだけど、それにしても、商品力にまで影響を及ぼすほど「ショボい」と判断されるようじゃ、プロトタイプの意義がないワケで――「PS2はゲームが作りづらい」とか泣き言云ってる場合じゃないと思うよ。マジで。
だって、力のあるチームは、相当なモノを作ってるんだからさ。
投稿者 tsurumy : 2003年02月14日 06:00
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