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2003年03月21日
嘘六百・第21回/「GDC」(完)
もし戦争もテロも起きていなければ(そう願いたいものですが…)、この号が発売される正にその日――正確には、日本時間の3月7日午前2時15分から、私は相棒と一緒に、カリフォルニア州サンノゼで開催されているGDCでスピーチ講演を行っているはずです。
そして、講演と同じ日の夕刻、個人的に超楽しみなGame Developers Choice Awardも催されます。このアワードは、GDCと同じ母体~IGDA(International Game Developers Association=国際ゲーム開発者協会)が行っている表彰で、一口に云えば「世界中のゲーム制作者が投票するゲーム賞」。ユーザー投票の賞だと、どうしても売れたゲームに票が偏りがちですが、こちらは歴史こそ浅いものの「優れた」ゲームを選び出す事には定評がある賞です。その証拠に昨年は、大賞にあたるGame of the Yearこそ大ヒット作のGTA3でしたが、ICOが3部門で受賞したり、REZがInnovation Spotlights(革新的なゲームに贈られる)を受賞したりと、通も納得の結果となっています。
そして既報のように、「携帯ゲームの父」故・横井軍平氏がLifetime Awardを受けるのもまた、この表彰の一部門だったりします。
この賞はゲーム業界への貢献に対して与えられるもので、意訳するなら「生き様賞」。いやはや、IGDAも粋な事をしてくれますなあ。この一件だけとっても、この表彰がいかにナイスかが解ろうというものです。
※このChoice Award、IGDAの会員であれば、日本からでも(実は、ゲーム制作者じゃなくても)投票できたりします。興味のある方は、IGDA日本支部(www.igda.jp)までどうぞ。
横井氏の例を引くまでもなく、日本のゲーム業界は、海外では驚くほどリスペクトされています。
例えば今回のGDC講演の中で、「Communicating With the Mothership(マザーシップとの交信)」というパネルディスカッションが予定されていますが、ここで云う「マザーシップ(母艦)」とは、まさに日本の事。要は、日本発のゲームは文化の差・言語の差を物ともせずに世界中で売れていた「親」であり、現在それを目指している西洋の(自分達の)ゲームを、卑下して「subsidiary(追随者)」と喩えているのです。
もっと云えば、私の知る範囲では海外の制作者は大概、日本式ゲーム制作には何らかの「秘伝」が存在すると考えているようです。ゲーム制作を、忍術か何かと同列に考えているんでしょうか。でもコレ、嘘みたいですが本当の話。実際に何人もの口から、そうした言葉を聞いています。だって、そうでもなきゃ、私が講演する事なんか有り得ないでしょ? それが何よりの証拠です。
そういえば、本来ならば今回、ICOの制作者・上田&海道コンビも講演する予定だったのですが、諸般の事情により辞退してしまったとの由。また他にもパンツァードラグーン・オルタのスタッフによる講演もキャンセルされてしまったと聞きます。
きっと海外の制作者の間では、「また『秘伝』を知る機会が失われた!」「さては口を封じられたか!?」と噂されていることでしょう――いやマジで。
GDCには初めて参加したけど、色々な方とフランクな形で喋れ、本当に有意義かつ楽しい時間を過ごすことが出来たように思う。つうか、制作者としては、E3に行くぐらいだったらGDCに行った方が良いね。
まあ、E3にはたいてい自分の参加タイトルが出展されているし、ミーティングも予定されているから、行かざるを得ないのだが。
あと、自分らのレクチャーの模様が紹介されているのを読むのは無性に楽しい。
平澤氏(神!)@Impress Game Watchの記事
志田氏@Independent Game Fiesta!の記事 **記事削除
岩井君@Softbank Gamesの記事 **ZDNet削除
奥谷氏@4gamerの記事
ちなみにこの中では、平澤氏の記事が長文なだけあって、いちばん自分の意図を正確に要約してくれているように思う。つうか、自分の喋りより、はるかに美しい日本語ですな。綺麗にリライトされているから、これを原稿にしたいぐらいだ(笑)。会場でのPCトラブルの際に助けていただいたコトもあって、今回「神認定」。本当にありがとうございました。
投稿者 tsurumy : 2003年03月21日 06:00
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