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2005年02月06日

富豪刑事のコト

あまりTVドラマは観ない方なのだが、今クールはテレビ朝日の木曜ドラマ「富豪刑事」(主演・深田恭子)なんぞは観ていたりする。原作はもちろん筒井康隆の同名小説「富豪刑事」

大好きなのよ、原作。

でもドラマは糞。

原作がしっかり押さえていた「探偵小説の文法」を、脚本家か演出家のどちらか(あるいは両方)が完全に無視――というより理解していないフシがある。もし理解しつつも無視しているのであれば、原作のエピソードをあれほど中途半端に使うはずがないので、そう断言して良かろう。

探偵が事件を解決すれば即ち探偵小説、なのではない。探偵が、読者や他の登場人物(犯人含む)が気づかなかった謎を、その探偵なりの方法論で明らかにしてこその探偵小説ではないのか。

富豪刑事・神戸大介は、名探偵に必須であるはずの常人離れした高い知能(灰色の脳細胞、とかね)こそ持っていないが、金と、それを惜しげもなく使う実行力と、育ちの良さと――といった、常人離れした特質を備えており、それが事件を解決に導いている。いた。

富豪刑事・深田恭子はドラマの中で、たしかに金と実行力と育ちの良さを見せつけ事件解決に向かわせている。だが事件解決の決め手は、深田恭子の「常人離れした金持ちっぷり」ではなく、深田恭子以外の登場人物達の「常人離れしたバカっぷり」なのだ。

なるほど。バカの国では普通の人間でも相対的には高い知能の名探偵たり得るというコトか。

だが、そのバカの国を外から眺めれば、それは単なる茶番に過ぎない。視聴者には驚きもカタルシスもない。ドラマ富豪刑事は探偵ドラマでも推理ドラマでもなく、単なる茶番というコトか。ガッカリだ。


そんなドラマ富豪刑事だけど、役者・筒井康隆が毎回ナイスなヒキを提供してくれるんで、その為だけに観てます。

つうか筒井康隆も、出演するんだったら脚本にも口出せよ!

カテゴリー: 六百式見聞録

投稿者 tsurumy : 2005年02月06日 01:02

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コメント

 む、鶴見殿も見とりますか。
 ワシもあの馬鹿さ加減を楽しんどります。

投稿者 党首 : 2005年02月07日 09:54

もう、ムカついてムカついて、
そのムカつきにたゆたう自分の心を楽しむためにこそ観てるっつーか
なんとゆーか
ああ、何でも修行であるなあ。

投稿者 tsurumy : 2005年02月07日 10:49