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2005年05月23日
エピソード3のコト
以前、「ある制作者の挫折と転落」で書いたように、鶴見にとってスターウォーズというシリーズには格別の思い入れがある。たとえエピソード1で手ひどく裏切られていようとも、これを観なければ「先へ進めない」。
5月19日。いよいよ最終作・エピソード3の全米公開初日、ウェストウッドのMann Village Theatreにやってきた。ハリウッドのチャイニーズシアターでは演らないそうなので、チャイニーズシアター系列で歴史の古いココは、エピソード3を観るにはベストの劇場だと云える。そういえば、以前「オーシャンズ11」のワールドプレミアを観たのもココだったっけ。
時間ギリギリに劇場へと入ると、ライトセーバーの所持率が異様に高い。UCLAが近いからか、お祭り気分の学生が多いのだろう。場内は騒然としている。別作品の予告編が流れても、早くスターウォーズをかけろとブーイング…の割りに、おねーちゃんの水着姿が映されると拍手と歓声が起きるのだから、横にいた長谷川亮一曰く「アタマ悪ぃ~」、まったくだ。
そしていよいよ、20世紀FOXのドラムロール~ルーカスアーツ・ロゴから、大歓声の包まれて「STARWARS」ロゴへ…。
(以下、致命的なネタバレは隠すので未見の方もご安心を)
CGとか宇宙戦での見所は相当タップリあって、活劇的な部分はかなり良く出来てる。その度に拍手と歓声…なんだけど、そんなのはまあスターウォーズだから当然であって、興味はむしろドラマの部分にある。アナキンが如何にしてダース・ヴェイダーと化すのか。そこに説得力があるのか、鶴見の興味はコレ一点のみだ。
アナキン青年が理力の暗黒面へと転落してゆくクダリは、まあオヤクソクではあるのだけれど、徐々に、三白眼の鬼気迫る表情へと変貌してゆく演技は説得力満点だ。特に、パルパティーンに唆されて、ドゥークの首を2本のライトセーバーで鋏み切るシーンは、まさに「踏み越えちゃった」としか云いようがない。
アナキンの変わりっぷりは、パドメ(アミダラ)との対比でも分かりやすい。「妊娠しちゃったの」と告げた後のパドメは、当然ながら保守安定を象徴する。そんな彼女と徐々にすれ違ってゆくアナキンは、もうどう見たって「ヤバい」。
そしてパドメはまた、暴走しつつある共和国の良心の象徴でもある。もちろん、共和国はパルパティーンの手によってお馴染み「帝国」へと変貌するのだが、パドメに手を掛けるのは、なんとアナキンだ。錯乱した目で、例の(後の)ダース・ヴェイダーの十八番「手を触れずに窒息させる」をパドメに向かってやっちゃうのだから、なんとも優れたプロット&演出だ。
…なんて、今だから冷静に分析できてるけど、この時点で鶴見は
もう半泣き
ところが、カットが切り替わってヨーダの活劇シーン。前作エピソード2では純粋に娯楽演出として楽しめたけど、今作では「やり過ぎ」。ヨーダの強さが描かれるほど、「お前、そんなに強いんだったら、アナキンのコト、もっとどうにかしてやれよ!」と思ってしまう。オビワンの苦悩がよく描かれているだけに、むしろヨーダに怒りが募る。正直、このシーンで鶴見の涙は引っ込んでしまった(ちなみに、エンドロールでヨーダに対してブーイングしたのは鶴見ひとりだった)。
だが、クライマックス。オビワンとアナキンの一騎討ち。
号泣
アナキンの両足を斬り、溶岩に放置するオビワン。炎上しながらオビワンに呪いの言葉を吐くアナキンの怒りの目。もう、ただひたすら、やるせない。合間に挟まるヨーダとダース・シディアスの決闘がマヌケであっても、もう涙は引っ込まない。クシャクシャになりそうな顔を、歯を食いしばって耐える。
でも耐えきれず号泣き
パドメは、双子を産んで亡くなる。それと時を同じうして、救出されたアナキンに生命維持装置のヘルメットが装着される。ダース・ヴェイダーの誕生だ(いや実際には、その前に命名シーンがあったんだけど)。
…だが、ここで拍手と歓声ってのはどういうコトだ?
ここは拍手じゃなくて泣く場面だろ!
エピソード4~6もロクに観てないようなUCLAの若゛僧が、お祭り気分で拍手してやがるに違いない(推測)。拍手の方向に駆け寄って、殴りかかってやろうかとすら思った。もちろん、1カットだけ、パドメの葬列でジャー・ジャー・ビンクスが出てきた時に拍手したヤツも同罪。
パドメとアナキンの落とし胤、ルークとレイアが別々に貰われてゆくのは、これはもうエピソード4~6に描かれている通り。ただ、ブロッケード・ランナーが出てきたのには、やっぱりジーンとした(その前の登場シーンで拍手したヤツはOK。建造中のデススターで拍手したヤツは微妙)。
そして。
ラストシーン。
タトゥーインの二つの太陽。
ああ、もう満腹です。涙で何にも見えません。27年に亘る鶴見のスターウォーズに決着がつきました。
これで、隠遁していたベン・ケノービが、ダース・ヴェイダーに殺られたシーン(エピソード4)にも納得がいくし、ダース・ヴェイダーがルークを暗黒面に誘った際の台詞(エピソード5)にも納得がいくし、ダース・ヴェイダーが皇帝を討ったシーン(エピソード6)にも大納得。もちろん、パドメの遺志を継ぐルークとレイアが、そこで大きな働きをしたのも、まさに当然。
こうやって書いている最中にも、エピソード6の最後の場面…ルークが振り返ると、アナキンとオビワンとヨーダがにこやかに頷いているシーンを思い出して(と同時に、オビワンとアナキンの決闘シーンがフラッシュバックして)、涙ぐんでしまうよ。
特別篇とかエピソード1とか、色々と殺意を抱きもしたけれど不満なトコロはあったけど…でも…
ありがとう、Mr. Lucas!
投稿者 tsurumy : 2005年05月23日 15:04
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