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2005年11月11日
ニセ科学に関するメモのコト
「水からの伝言」という明白なニセ科学がある。まあ、こういうのは信じたい人だけで信じていれば害は無い(?)んだけれど、それを道徳の教材として使っている学校が、案外と多いらしい(参考→どらろぐ・「水」別館)。
美しい言葉をかければ、水は綺麗に結晶する。人間の大半は水なのだから、皆さん綺麗な言葉を使いましょう…道徳教育として、そういう結論に持って行きたいのは理解出来ないでもないが、そこにニセ科学を持ち込むのは如何なものか。インチキ商法に引っ掛かる人間を量産しているようなものだ。それはマズかろう。
こういうのを見ると、「ゲームと子供の付き合い」を御しかねている親・教師が、「ゲーム脳」にすがるのも同じ構造だというのがよく解る。
前回のエントリーで、ゲーム脳をニセ科学と書いた(まあ明示的には書いてないけど)件について、sunpx氏がトラックバックを打ってくれている。
「ニセ科学」と言い切ってしまうのは、何なのだが、わからないことをとことんまで突き詰めて、そして、「論理的道筋が通った、誰にでもわかる説明は出来た」とき、立派な科学になるのだから、それまでは、「ニセ化学」でも「似非科学」でもいいんじゃいの?
いや違うんだってば。分からないコトは「未科学(Proto-science)」だから、これから解明していけばいいワケよ。
こういった「ニセ」とか「似非」とか言われているほうも言うほうも、ちゃんと一般大衆にわかるように説明する義務があると思うわけだ。
いやいやいや、ニセ(に限らず新説)を主張する側に挙証責任があるんだってば。それが科学的態度なんだってば。
「ゲーム脳の恐怖」をニセ科学と呼んでいるのは、wikipediaの「疑似科学」の項を読めば分かるんだけど、
学問、学説、理論、知識、研究等のうち、その主唱者や研究者が科学であると主張したり科学であるように見せかけたりしていながら、科学の要件として広く認められている条件(科学的方法)を十分に満たそうとしていないものをいう。これらが、科学であるかのように社会に誤解されるならば、そのことが問題であると言われる。
とまあ、科学的方法に基づいていないワケよ「ゲーム脳」は。しかも、その結果を恣意的に援用して、自分のイデオローグを世間に認めさせようとしているワケよ。ちっぽけながらも「ルイセンコ事件」みたいなモノだと云っていいと思う。
「ルイセンコ事件」 ルイセンコは農学者あるいは遺伝学者としてソ連における権威的な立場にあって、獲得形質が遺伝するという立場を強く推進していた。そしてスターリンにとりいり、獲得形質の遺伝を否定するメンデル遺伝学などの学者を「ブルジョア的」といって追放したのである。(「はじめての進化論」河田雅圭)
「科学」を標榜しながら、(実は)科学によらず、イデオローグによって扇情的に世間を「曲げようとする」やり口、これはどう見ても「ニセ科学」でしょう。
ちなみに、ニセ科学については、大阪大学の菊池誠氏の論文が解りやすいので、ぜひ一読あれ。
なお、同様の文脈ではむしろ「疑似科学」という言葉のほうが広く使われている。敢えてその言葉を避けて「ニセ科学」と呼ぶのは、文脈によっては「疑似科学」という言葉が褒め言葉になるからである。(中略)「ニセ」という言葉は否定的な意味合いを強く含むので、こちらを採用する。(中略)「似非」「エセ」のほうをお好みのかたはそれでもかまわないだろう。
鶴見も、菊池氏の論文に倣い、「疑似科学」ではなく「ニセ科学」と呼称している。「ブードゥー・サイエンス」でもいいんだけど、日本語圏ではチト格好良すぎるので、やっぱ「ニセ科学」やね。
投稿者 tsurumy : 2005年11月11日 19:25
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