« ロスリスバーガー | メイン | EDGE #164で探られたコト »
2006年06月14日
残虐ゲーム問題ほぼ一周年のコト
ちょうど昨年の今頃――正確には5月30日に、神奈川県が「グラン・セフト・オート」を(いわゆる)残虐ゲームとして有害図書類に指定し、青少年への販売を禁じたのであった(→「頑張れCERO!」のコト)。
あれから1年。状況はどうなったのだろう。良くなったのか、それとも悪くなったのか。
もちろん大きく好転した…と思いたい。
レーティングに関する議論はこの1年で急速に進み、記念すべき初有害図書類指定からほぼ一周年にあたる5月31日、18歳以上のみを対象とした「Z区分」を含む新レーティング制度がスタートした。これは、一部メディアで報じられている通りだ(一例としてITmediaを挙げておく)。
鶴見は以前、「CEROさん! 『成人向け』レーティングをぜひ設定してください!」と書いたコトがあった(→ゲームも有害図書指定されちゃうコト)。書いたのは、神奈川県が一部のゲームを有害図書指定しようとする方針を明らかにした直後だったかな。なんとなれば、『成人向け』レーティングが設定されて周知のモノとなれば、それ以外のゲームが不当に「有害図書指定」されるコトはないだろう、と考えたからだ。
そして現実もまた、鶴見がかつて願ったように進みつつある。
ならばこれで一安心…なのだろうか?
今後も取り組んでいかなければならないことは存在する。1つはこのシステムが周知徹底されること
――和田洋一CESA会長は、「テレビゲームと子どもに関する協議会」の席上でこう云う。そうだその通りだ。規制しようとしている方々には当然知って貰わなければならないし、運用する流通の側にも知って貰わなければならない。
だがなんといっても、ゲームを購入する消費者にこそ知って識って理解して貰わなければならないのではないか。そう考えると、CERO/CESAの活動はやっぱり圧倒的決定的致命的なまでに「足りない」ように思えてしまう。
ユーザーに対しての啓発が。
まず、上に掲載したレーティング表示と、以前のレーティング表示とを比べてほしい。
これ、どう考えても昔の「数字表示」の方が、判りやすいんじゃね?
いや、内部の事情とか議論については想像できるのだわさ。今回問題になっている「18歳以上のみ対象」というレーティングのみ、他の「推奨年齢」レーティングとは成り立ちも意味合いも異なっているワケだし、それを「Z区分」と、特殊なアイコンで特別扱いするのは「アリ」だ。
でも、「Z」という記号を導入する為に、他も同様に「A~D」と記号化しちゃうってのは…整合性は取れるのかも知らんが、分かりやすさを落としちゃイカンだろ。
あるいは、記号性を高めつつ、それ相応の「刷り込み」を行うのならばOKだ。もちろん、消費者に対して。何かを学習させる方法はゲーム業界の得意とするトコロなのではないか。ちゃんとした露出計画の下、適正な露出(新聞とか雑誌とかTVコマーシャルとか)を図れば、間違いなく出来る。逆に云えば、それ無しでレーティング表記のみを替えても、片手落ちというものだ。それでは、自治体などの「お上」に対する言い訳・アリバイに過ぎない。やっぱり――
ユーザーへのアピールが足りん!
とまあ、鶴見はそう思っちゃうワケだ。
何度でも書く。
CEROの事業内容として、ゲームソフトの年齢別レーティング制度普及啓発事業と謳われているんだから、もっともっと普及啓発を行わなければならんよなあ。新聞広告とか雑誌広告とか、「JAROって何じゃろ?」に倣って、「CEROにまかセロ!」なCMとか。ダメですかそうですか。(→「誤解されてるなあCERO…」のコト)
以前、鶴見は「CEROに任せろ」というCMソングを、なんだか勢いで作っちゃったりしたのだが(→「CEROに任セロ!」なCMソングのコト)、今度はヒマを見つけて、「A・B・C・D…Z」をテーマにしたCMソングでも作ってやろうかと思っている。
それぐらいやらなきゃダメだよ。
業界の人間は、ビデオゲームの社会的地位は思いの外、低いというコトを肝に銘じて、それなり方策を採らにゃイカン、と思う。
《蛇足》
SCEJは、大傑作ゲーム「God of War」(SCEA)も、「the Getaway」(SCEE)も、自社では発売しなかった(前者はカプコン、後者はセガから発売)。プラットフォーム・ホルダーSCEIのファーストパーティとして、君子危うきに近寄らずな態度を取ったのであろうか。この腰の引けっぷりが、彼我の社会的地位の差を端的に示しているように思える。プラットフォーム・ホルダー自ら、社会に切り込んでいく態度が望まれる。つうか鶴見はぜひ望む。頼むよ。
投稿者 tsurumy : 2006年06月14日 18:10
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.0600design.com/mt/mt-tb.cgi/356